教師にとっての夏休み

いろいろやることがあります

夏休み期間中の教師はいっぱい休めていいですねなどと言われることがありますが、夏休みの間に教師がやるべきことはいろいろあるのです。校内研修もそのひとつです。

大学の教授や専門家などを講師として招くこともあるので、日程や研修内容などは夏休みの前に確定しています。研修のテーマは探究学習、人権教育、危機管理(安全教育)など、それぞれの学校で必要なものが複数選ばれます。校内研修の間は教職員はみんな参加するので、その間職員室には人がいなくなることもあります。

校内研修以外にも市町村単位などで教科の研修といったものもあったり、個人で申し込む研修に参加することもあります。

研修以外にも1学期に使ったものの片づけや準備室などの掃除、2学期に授業で使う備品や消耗品の確認、1学期にできなかった事務仕事、2学期の体育祭や運動会などの行事の打ち合わせと使う道具類の点検などもしなければなりません。2学期の授業の教材研究も必要だし、若い教師の模擬授業をすることもあります。

翌年の修学旅行や秋の校外学習の下見に行ったり、職業体験をする学校では受け入れてくれる職場に訪問して打ち合わせをすることもあります。4月に入学した中学1年生が3年生になったときに行く修学旅行の行き先と担当する旅行業者を決めるために4社のプレゼン発表を聞くこともありました。

1学期にあまり登校できなかった子どもに連絡をして、無理でなければ誰も来ないタイミングで学校に来てもらう、または家庭訪問をして話をするようなこともあります。

いずれも時間に余裕がある夏休みだからこそできるのです。2学期にわずかでも余裕を生み出すために夏休みにできることをできるだけ進めておくという意味もあります。

学校の夏休みには、エアコンの設置や交換、蛍光灯をLEDに交換、消防設備や電気関係の点検など様々な工事や点検が予定されていることがあります。
足場を組んで校舎全体が覆われることもあるし、音がうるさいとか教室が使えなくなることもあるので、授業の邪魔にならないようにするには夏休みを利用するしかありません。台風などの影響で夏休み期間中に工事が終わらず2学期にずれ込むこともあります。
工事や点検をする学校では車両の出入りがあるので、子どもたちの安全を確保するため登校を制限することもあります。

休みの必要性

1学期に修学旅行や宿泊を伴う校外学習に行った教師は、勤務した時間が規定を超過するのでその分の休みを取らなければいけません。本当は修学旅行やキャンプなどから帰ってきた直後が疲れを取って健康な状態を保つためにも理想なのですが、教師不足の現状では授業のある日にその休みを取るのは難しいことが多いです。仕方がないから夏休みにその休暇を取ることがあるのです。

養護教諭(保健室の先生)の場合は修学旅行にもキャンプにも、つまり複数の学年の宿泊を伴う行事に同行することが多いです。その際やはり勤務時間が規定を超過するのでその分のお休みを取らなければなりません。しかし1学期は様々な健診を実施することが法律で決まっていて養護教諭はとても忙しく、すぐに休みが取れないことも多いのです。だから修学旅行とキャンプで超過した分の休みを他の教師と同じように夏休み中に取ることもあります。
もちろん夏休み中に保健室や学校内にいることはありますが、1学期の様々なデータや資料の整理、教育委員会に提出する書類の作成など仕事はたくさんあって忙しいのです。

また教師は勤務時間を短縮することを求められています。教師の働き方改革の進行状況を教育委員会は文科省に具体的な数字で報告しなければならないからです。でも授業のある日はなかなか休めないものです。そこで夏休みに普段は使えない有給休暇をできるだけ使うようにします。そうすれば年間の勤務時間の合計を減らせるからです。

家族がいる教師は、家族と過ごす時間をその有給休暇のタイミングに合わせるのは当然です。また若い教師が増えてきて結婚するという話もあります。長い夏休みは2人の日程の調整がしやすいので新婚旅行を予定することが多いのも当然です。

このように教師が夏休みに休みを取ることには様々な意味があります。だから早い段階で夏休みの計画を立てている教師は多いです。

学校は4月から猛烈な勢いで仕事を進めてきました。体力的にも精神的にも疲労がたまり、倒れる寸前で何とか夏休みまでもう少しというところまでたどりついたという感じの教師もいます。

精神疾患で休職・療養する教員は増え続けています。精神疾患により1カ月以上休んだ公立学校の教員は、2024年度には1万3310人だったという報道があります。

教師にとってリフレッシュするために夏休みは必要なのです。周りからは大丈夫そうに見えていても、また本人に自覚がなくても、心の中はどんな状態かわからないものです。

これは初任者も中堅もベテランも関係がありません。みんな休まないといけないのです。2学期に子どもたちの前で笑顔になれるように、教師の心が温かいもので満たされるように夏休みを過ごすことは、とても重要なのです。