「記憶」の はなし
夏休みはがんばったのに…
1回目の実力テストの正確な学年平均は近々発表します。ですから今の段階では細かい分析は難しいです。1学期の中間テストなどと比べると平均点は低くなっていますから、普段のテストと比べて単純に点数を比較して考えてはいけません。
でも、テストが「できた」とか「できなかった」という手応えみたいなものは、なんとなくつかめると思います。そんな中には『夏休みはがんばって覚えたのに…』という人もいるのではないかと思います。そこで、今回は人間の「記憶」について話をしたいと思います。
長期記憶と短期記憶
人の脳には長期間記憶できる部分と、短期間しか記憶できない部分があります。
あまり重要ではないとか特に印象に残るようなことがなかった場合、それらの記憶は短期記憶の場所に入り、数分から数日で消えてしまいます。多くの人が3日前の夕食のメニューを思い出せないのは、その情報が短期記憶に入ったからです。
それに対して、すごく大切なことや興味を持ったこと、また、とても面白かったとか驚いたなど印象が強かった場合、それらの記憶は長期記憶の場所に入ります。うまく長期記憶に転送されると何年経っても思い出すことができます。
さて、授業中には教えてもらったことをその時は理解していたと思っていたのに、テストの時になるとわからなくなっているってことありませんか? 自分では大丈夫だと思っていても、記憶力に裏切られたような気分になってしまうケースです。これは、授業中に学んだことを短期記憶にしか転送できていないために起きるんです。
『勉強』は、長期記憶に転送する作業だと考えてください。『夏休みはがんばったのに…』という人は、時間をかけてがんばって勉強したんだと思います。けれども、覚えなければならないことを長期記憶に転送することができなかったのかもしれない。ということです。
繰り返す
暗記が得意な人とそうでない人っていますが、その違いは長期記憶に転送するのがうまいかどうか、その方法を知っているかどうかの差です。
では、具体的にうまく長期記憶に転送する方法ってどんなものでしょうか。
長期記憶に転送された記憶でも、まったく思い出すことがなかったりするとやがて消えてしまいます。でも、何度も思い出したり同じ事を経験したりすると記憶はしっかりしたものになります。「繰り返す」ことが長期記憶に密接につながっているのです。
しっかり覚えるために、この「繰り返す」効果を利用しましょう。英単語や漢字は何度も書いて覚えるという人は多いでしょう。年表や元素記号などはカードを使って何度も見ると言う人もいるし、数学の計算問題はとにかく数をこなすと言う人もいますね。それらは、まさに「繰り返す」効果を利用したやり方です。予習とか復習をやるのも同じところを繰り返し勉強することにつながるから効果があるわけで、ずいぶんと古典的な方法ですが非常に有効な方法です。
一度勉強してしっかり覚えたと思っていても何週間かして同じ問題に取り組んでみると記憶があやふやであることに気がつく場合があります。だから受験に向けて、この部分は前に勉強したからもうやらなくてもいい ではなく、何度も繰り返し勉強してしっかり記憶できるようにしなければなりません。
また、繰り返し勉強することで記憶があやふやなところを見つけられます。だから、計画を立てて勉強に取り組むことは、とても大切なことです。
朝学習では班の中で教えあうように説明しました。勉強がわからない人のためになるだけが理由なのではありません。友だちに教えてあげるとか教えてもらうことが、「繰り返す」ことにつながり、自分の記憶をよりしっかりしたものにできるチャンスなんです。教える人、教えられる人、双方にとっての利益につながるんです。本当にきちんと教え合いができるクラスは自然に成績が上がるのはそのためです。きちんと教えあえる雰囲気を、班の中に作ってもらいたいものです。
さらに、暗記には「慣れ」の要素も関係してきます。何度も暗記に挑戦しているうちに段々慣れてきて、長期記憶へ転送するコツをつかめるようになります。「繰り返す」ことは暗記のコツを会得するためにも、大切なことなのです。 つづく