職場体験 シミュレーション物語 前編

はじめに

 職場体験が、だんだん近づいてきました。楽しみだという人もいるだろうし、不安を感じている人もいるでしょう。ですが、職場体験を快く受け入れてくださった、たくさんの職場の方たちのご厚意で実現する貴重な体験ができるチャンスです。みんな頑張ってほしいです。
 そこで、少しでも職場体験を有意義なものにするために、このシミュレーション物語を作ってみました。どんな経験をするのか、イメージしてもらえたらうれしいです。
 なお、このシミュレーション物語に登場する人物は、すべて架空のものであり実在の人物とはなんの関係もありません。読んでいるうちに、具体的に思い浮かぶ人物がいるかもしれませんが、それは思い込みとか錯覚というようなものに分類されるものだと思います。

 ※実際には、学年所属の先生たちの実名が使われていました。ここでは、教科名に変えています。

第1章 集合 職場へ

 わたしたちは、8時15分に駅に集合です。駅に向かって歩いていると後ろから「やばいやばいやばいやばい遅刻遅刻遅刻」という声と、走る足音が聞こえてきました。体育君でした。
 「何時集合?」と聞くと「7時半!」という短い返事を残して、猛スピードで走り去っていきましたが、絶対間に合わないよね。だってもうすぐ8時だもん。きっと同じ職場に行くメンバーは彼を待たずに先に出発しているはず。

教訓①:遅刻することは職場の方の信頼を失う行為です。

 わたしたちは集合時間の10分前に全員そろい、余裕で出発です。電車に乗って外の景色を見ていたら、自転車を抱えて歩いている数学君が見えました。後で聞いたらタイヤがパンクしたので自転車屋さんを探しながら歩いていたそうです。

教訓②:自転車で職場に行く人は、こんな時にどうするか考えておきましょう。

第2章 職場体験 あれこれ

①回転寿司チェーン店の調理場で

この店では魚をさばいて、お寿司に使えない骨などはお吸い物の出汁に使ったりもします。調理担当の方に魚のさばき方を教えてもらってから「やってみて下さい。」と言われた理科さん。
「でも、魚が私をにらんできます。」
「にらんでいません。魚はもう死んでるから。いい? ゆっくりでいいからね。
包丁で指を切ったりしないように気をつけて。僕は次の準備をしてくるから。じゃぁ任せたよ」
「頑張れ 私。やればできる子!」

しばらくして調理担当の方が戻ってくると、まな板の上には魚の内臓、筋肉、骨格が種類ごとにきれいに並べられていました。とても魚をさばいたようには見えません。ふと見ると理科さんの手にはメスとピンセットが。そんなもの、どこから出てきたんだ?
「もしかして、魚をさばいたじゃなくて、解剖した?」
「あの、アニサキスの観察もしたいです。この店に顕微鏡ってありますか?」
理科さん。研究熱心なのはわかりますが、TPOを考えましょう。

教訓③:職場体験で学ぶことは何か、きちんと判断したいですね。

②スーパーのレジで

レジの仕事を体験していると、順番待ちで並んでいる女性の前に、男の人が割り込んできました。
「お客様、そちらの女性が先でしたので並びなおしてください。」
「タバコ買うだけだから、いいだろ! すぐに済むだろうが!」
「お客様、僕はここで職場体験をさせていただいている中学生です。その中学生の前でそのような態度は、恥ずかしくありませんか?」
そう言うと先に並んでいた女性客が「ホンマ、その通りやわ」と言いました。
男性客は、何か言いたそうな表情になりましたが、そのままお店を出ていきました。
その様子を見ていた店長が
「美術君、落ち着いていい対応をしたね。いやぁ、素晴らしい!
 君は大人の貫禄があって、とても中学2年生には見えないね」とほめてくれました。

教訓④:職場体験中に判断に迷うことがあった時は、すぐに職場の人に相談しましょう。

③ピザショップで

「英語君、ピザの作り方は午前中で覚えたよね? それじゃぁ、お昼ご飯は
試しに自分でピザを作って自分で焼いて、それを食べてください。」
「ほんとですか! うっわ、めっちゃうれしい。 ジブリの新作映画を見るのと同じぐらいうれしい。」
さっそく喜んで作り始める英語君。
「おぉ いい仕上がりだね。これならお客さんにも出せるね。それにしても、英語君はたくさん食べそうやね。」
「いえいえ、そんなに大したことはありません。 おかわりにあと2枚食べたら、それでもう十分です。」
「それは食べ過ぎやろ!?」

教訓⑤:頑張ったご褒美をいただいても 、調子に乗りすぎてはいけません。

④コンビニで

レジの横にあるホットショーケースに並べるホットスナックの作り方を教わった家庭科さん。気になることがあったので質問しました。
「揚げすぎて失敗したものは、どうするんですか?」
「それはお客様には出せないから、廃棄します。」
「捨てることになったものは、味見のために食べてみてもいいですか?」
「いいよ。」
すると家庭科さんの目が三日月の形になり、口元には悪そうな笑いが浮かびあがりました。家庭科さんは「わざと失敗したら食べられるってことね。どれにしようかな。」と考えているようです。

教訓⑥:職場に、故意に損害を与えてはいけません。

職場体験 シミュレーション物語 中編 に続く ↓