新作 学年通信 反戦平和の取り組みは

 〇〇中学校ではずっと反戦平和の取り組みを続けています。「太平洋戦争が終わって80年になろうとしているのに、いつまでこんな取り組みをするのか」という意見があるのも事実ですが、先日こんなニュースがありました。

原爆投下80年 米で調査“正当化される”35% “されない”31%
2025年7月29日 19時39分 NHK

第2次世界大戦中の広島と長崎への原爆投下から8月で80年になるのに合わせて、アメリカで世論調査が行われました。その結果、原爆投下について「正当化される」と答えた人が35%、「正当化されない」は31%と、意見が割れていることが分かりました。

世論調査はアメリカの「ピュー・リサーチセンター」が6月2日から8日にかけて18歳以上のアメリカ人およそ5000人を対象に行いました。

それによりますと、原爆投下について「正当化される」と回答した人が35%、「正当化されない」が31%、「分からない」が33%だったということです。

「正当化される」と回答した人の割合は年齢層が高くなるほど大きくなっていて
▽65歳以上で48%
▽50歳から64歳で40%
▽30歳から49歳で29%
▽18歳から29歳で27%となっています。

これに対して「正当化されない」と回答した人の割合は年齢層が低くなるほど大きく、18歳から29歳では44%に上っています。

一方、核兵器の開発によって世界が安全になったかどうかという質問に「より安全でなくなった」と回答した人は69%に上り、「より安全になった」と回答した10%を大きく上回っていて、アメリカ人の核兵器に関する複雑な受け止めがうかがえます。
引用元 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250729/k10014878081000.html

原爆投下の正当化とは

 アメリカには「原爆投下によって日本の降伏を促して太平洋戦争の終結が早まったことで多くのアメリカ人と日本人の命が救われた」というような考え方があります。これが原爆投下の正当化という意味です。
 この考え方を知って悲しいとか悔しい思いをした人がたくさんいます。
 例えばアメリカ軍は原爆を投下する前に一般市民に避難するように勧告を出していません。一般市民の犠牲者がどんなに増えてもかまわないと考えていたのでしょうか。また日本政府に降伏の決断を促すためというのであれば、東京湾の真ん中で原爆を爆発させれば一般市民の死者をかなり減らせるうえに、その強烈な閃光や巨大なキノコ雲をたくさんの人が目撃することになります。当時日本でも原爆の研究は進めていたのでその写真や目撃証言を集めれば、それが原爆であるとわかったはず。日本では開発できていない原爆をアメリカはすでに完成させていたという衝撃。そして次はどこに落とされるかわからないという恐怖を日本政府に与えることができたのでは という話もあるからです。一般市民の命を、たくさんの人生を、豊かな未来を、犠牲にする必要はなかったのではないでしょうか。

反戦平和の取り組みは

 海外から広島の原爆資料館を見学する人たちが増えています。被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が2024年のノーベル平和賞を受賞したことも影響しているのかもしれません。その原爆資料館を見学した人たちへのアンケートによると原爆の実際の被害の状況を知って、原爆投下を正当化できないと考え方が変わったとか、資料館での展示を今後も継続するべきだなどの意見があったそうです。
 「知る」ことが大切なこと。そして最初のニュースを見ると少しずつ状況が変わってきていることがわかります。これは最初の「太平洋戦争が終わって80年になろうとしているのに、いつまでこんな取り組みをするのか」という意見への答えだと思いませんか?
 今、ウクライナやガザ地区で何が起きているか、ニュースで聞いたことがある人は多いと思います。しかし、その悲惨な状況をなかなか止めることができていません。この状況をどうすれば止められるのか、防ぐことができるのかを考える必要があると思います。
 また、さっき日本も原爆の研究をしていたことに触れました。もしも、日本がアメリカよりも先に原爆を完成させていたら、使用していた可能性は・・・ 歴史を振り返る際に仮定の話をしても意味がないこともありますが、このような見方があることを知ることはムダにはならないような気がします。戦争について正しく知り、事実を学ぶ反戦平和の取り組みは大切にしたいです。

参考:新作 学年通信 今年のノーベル平和賞は
https://msensei.blog/2024/12/27/nobel-peace-prize/