新作 文章と人間関係の話
「あれ」で話が通じる関係
文章を書くことが難しいという人がいます。だから文章を書くのは苦手だと思っていたりします。
文章を書くことが苦手な原因はいろいろあると思いますが、相手にきちんと伝わるか不安だとか、どう表現すればいいのか浮かんでこないから文章を書くことが苦手だと感じる人もいるようです。
人と人とのつながりに関連して、不思議だなと感じることがあります。それは、わかりにくそうな文章でも、相手によってはちゃんと伝わることがあるってことです。
これは会話でも同じようなことがあって、例えば「あれ」のひとことだけで「あれ」が何を指すのか、お互いに通じてしまうことがあるんですね。周囲の人にはわからないけど「それ、あれ?」「うん、あれ!」で通じてしまうのです。
世界一短い手紙のやり取り
ここで、最初の話に戻ります。
自分の書いた文章が相手にきちんと伝わるか不安だから文章を書くのが苦手だという人は読む人の読解力を考えていない可能性があるということになりませんか? 自分の書いた文章が相手に伝わるかもしれないし伝わらないかもしれない。でもその原因は自分だけにあるとは限らない ということです。
できるだけ相手にきちんと伝わるように努力をする必要はありますが、伝わるかどうかを気にしすぎて文章を書かないのは、とってももったいない気がするのです。
映画化もされたレ・ミゼラブルを書いたユーゴーは、出版社に「?」だけを書いた手紙を出したら、出版社から「!」とだけ書かれた返事の手紙が届いたというエピソードがあります。本の売れ行きや評判はどう? とてもいいですよ! こんな感じでしょうか。このエピソードは、ユーゴーから届いた「?」だけが書かれた手紙の意味を、出版社の担当者が理解できなければ成立しなかったと思います。手紙は書く人の文章力がいくら優れていても読む人の読解力がないと伝わらないこともあるんですね。
文章を書きましょう
こんな人間関係にあこがれる人は多いと思いますが、実際にそんな相手をすぐに見つけることは困難です。自分と相手の深い相互理解が必要で、それにはたくさんの経験の蓄積が必要で、そのためには時間が必要だからです。
また、自分は相手のことを分かっていると思っていてもすれ違うこともあるし、相手は自分のことを分かっていると思っていても期待外れだったりすることもあって、完全に分かり合える関係になる前に挫折することもあります。
でも、それらを恐れて自分の意見や考えなどを出さないようにしていては、本当に分かり合える人間関係はなかなかできません。文章を書かないともったいない気がするのは、これが理由です。
相手に伝わるように頑張って文章を書きましょう。それは誰かと人間関係を作るための一歩になります。
同時に気持ちがすれ違ったりしても相手を許すとか、信じるとか、受け入れるとか、そんな姿勢を大切にしましょう。