みんなにできること

3学期の5組

 3学期の5組は、長い時間をかけた班長会議の成果なのか、それともみんなのやる気がにじみ出てきたのか、授業中の様子がずいぶんと良くなりました。いろんな教科の先生から褒められることも何度かあって、担任としてとてもうれしく思ったものです。
 実際にテストの結果をみると、2年生での合計5回の定期テストの中で学年末テストが一番良かったという人が何人もいます。当然通知表の成績も上がった人が多く、中には9教科中5教科が上がったという人もいて、3年生に向けて良い形で2年生を締めくくれたなぁと思います。
 しかしながら、3学期の成績が残念な結果になってしまった人もいます。2学期の反省をした時はすごくやる気があったのに、時間が経つといつの間にか忘れてしまった。気のゆるみが出てがんばろうというやる気が出てこなかった。まだなんとかなるとなめていた。など、その原因はいろいろあると思います。中には『自分の力はこんなものだ』と最初からあきらめている人が含まれているような気がします。

サーカスの象

 サーカスにいる象は普段足に鎖をはめられて、その鎖は地面に打ち込まれた小さな杭につながっています。本当は、象の力ならそんな杭を引っこ抜いて逃げ出すことは簡単に出来ます。でも、象は逃げようとすらしません。
 なぜ逃げようとしないのか。その原因というか理由は、象がまだ力の弱い子どもの頃から鎖につながれていたことにあります。象が子どものうちは頑丈な杭と太い鎖を使って、象が暴れて逃げようとしても杭は抜けないし鎖も切れないようになっています。暴れても逃げられなかったという経験を何度も繰り返しているうちに、自分には杭を抜く力なんてないと思い込んでしまい、抜こうとする努力すらしないであきらめてしまうようになるんだそうです。そしてそれは、大きく成長して力の強い大人になったあとも続き、鎖よりももっと切れやすいロープでも、それを足にくくりつけるだけでその場から動かない象になってしまうこともあるそうです。
 人間でも同じことが起きている可能性があります。テストで何度も低い点数しか取れなかったという経験を続けているうちに、自分には力がないと思い込んでしまうというような可能性が…
 さらに、自分には力がないからとあきらめてみせることで、頑張らなくてもよくなるから、しんどいことから逃げようとしている人もいるかもしれません。
 本当は勉強のやり方を少し変えるだけで成績が伸びるかもしれないんです。現に5組の中で劇的に成績が伸びた人が何人もいるんです。確かに勉強にしっかりと取り組むのはしんどいですよ。でも、そこから逃げてばかりでは成長しません。今一度、2年生の自分をしっかりと振り返って反省をし、大切な年にむけてやる気を出して欲しいと思います。

みんなにできること

 さらに、もう少し付け加えるなら、もっと気持ちの切り替えをうまくやってほしいなぁと感じる人がたくさんいます。チャイムが鳴っても次の行動に移れないとか、掃除や係の仕事に取り組めないとか、そんな人たちです。けじめをつけることができていないと言えるかもしれません。こういった人たちは授業中に他のことをやってしまうとか、家でも勉強できない可能性が高いです。それでは、実力UP になるわけがありません。
 それから、『情熱』を持ってほしいなぁとも感じる人がいます。生活にメリハリがなく、毎日をなんとなく過ごしているような人たちです。『情熱』を別の言い方で表現すると、それは『こだわり』になると思います。こんなレベルでは満足しない! もっと上を! より良いものを! このように考える『こだわり』を、みんなにはずっと大切にして欲しいと強く願います。なぜなら、気をつけないと、情熱はすぐに冷めてしまうことがあるからです。まぁ、これぐらいでいいかなどと妥協したり、初心を忘れてしまうことって、経験したことがある人は多いんじゃないですか? 『こだわり』に頑固に「こだわる」ことができたら、心配いらないのかもしれませんね。
 東日本大震災で人と人との絆が大切なんだと気付かされた人はいっぱいいて、生き方が変わった人も多いようです。家族との絆を大切にし、家族のためにみんなができること。それを考えることも大切だと思います。