シカ と 電池 と 情報の話
シカが線路をなめる話
1月ぐらいだったでしょうか。家庭科の授業の中で「田舎の方では、シカが鉄分の補給のために線路をなめにくる。」という話をしました。
唾液で金属を溶かすことはできないはずでは? などと考えて、その話を信じられなかった人がいたようで、理科の先生に確認をした人がいました。疑問に思った事を調べてみようというその姿勢は大切なことなんですが、どうも理科の先生はこの話をご存知なかったようで、その話を否定されました。実際、この話が分かったのは3年ほど前のことで、大学や研究所の専門家ですらシカが線路に侵入する理由がわからなかったわけですから、仕方がないことなのかもしれません。
さて、理科の先生が否定したことからM先生はうそをついたと考えた人たちがいたようです。その際、「自分で調べてごらん」と僕は言いました。インターネットで「シカ 線路 なめる」というようなキーワードを入力して検索すれば、すぐに裏面のようなニュースにたどり着けるからです。しかし、そのあと自分で調べた人はいたのでしょうか? いないとしたら、とても残念です。疑問を解決するのに、人に聞くだけではなく自分で調べる姿勢は誰もが持ってほしいものです。逆に、人を思い込みで判断したり、少ない情報で決めつけつような姿勢はなくしてほしいです。
電池の話
シカの話のついでに、電池の話もしたいと思います。時間がなくて詳しく説明できなかった話です。
こちらは技術の授業で製作したラジオ。昔の製作キットとちがって、充電機能がついています。阪神淡路大震災の時に、貴重な情報源として使われていたラジオですが、電池がなくなっても店に置いてあった分はすでに売り切れているし、鉄道や道路が復旧するまでは工場からの輸送はできないし。ということで、大勢の人たちがとても困ったという経験を活かしてこのような形になりました。さらに現在では太陽電池パネルも組み込まれていて、充電を補助することができるようになっています。
さて、授業で作ったラジオを持って帰ってもらった日、教室の窓辺にラジオを置いて充電していた人がいました。その時に僕は「太陽電池パネルは、補助的でしかないよ」というような話をしました。すると、またM先生がうそをついたと考えた人がいました。
ラジオの充電レベルを確認するLEDが全部消えた状態になっていたのに、太陽の光を当てているうちにLEDがすべて点灯する状態になっていたことで、とても「補助的」とは思えなかったというのです。おそらくラジオが聞こえなくなったりしたら、充電池の電圧はゼロになったと考えたんだと思います。また、そう考えてしまう人は、世の中にいっぱいいます。
でも、裏の右半分に載せているとおり、例えばラジオが聞こえなくなったとしても、それはラジオが動作するのに必要な電圧を下回っただけで、電圧が完全にゼロになったわけではありません。ラジオが聞こえなくなってすぐに充電を始めれば結構簡単にフル充電できてしまうんです。逆に、曇りの日が続いたりすると時計機能だけが使えてラジオは全く使用できないレベルになってしまい、ハンドルを回して充電しなければならなかったりします。「補助的」な性能でしかないとわかってもらえたでしょうか。
情報の話
僕は見本用のラジオを使って、数年前に被服室で太陽電池の性能を確かめる実験をしていたので、「補助的」な性能しかないことがわかっていましたが、いつも同じように実験ができるわけではありません。
そんなときに便利なのはインターネットです。しかし、情報を正しく判断できるとは限りません。インターネットにはウソの情報も含まれていることもあるからです。1年後の進路選択の際にも、このことはしっかりと覚えておきましょう。
高校の偏差値や雰囲気など、インターネットには様々な情報がありますが、その情報が本当に正しいのか見極めることがすごく大切なんです。
2015年10月13日 日刊工業新聞の記事より抜粋
シカと列車の衝突防ぎます!日鉄住金建材が生態を研究し尽くした防護柵とは
日鉄住金建材(東京都江東区)が野生のシカの生態研究から、列車との衝突を防ぐユニークな商品「ユクリッド」を開発し、発売した。あえてシカが飛び越えられるよう低くした防護柵「ユカエル」と、鉄分でシカをおびき寄せる固形塩「ユクル」を組み合わせたもの。年間約5000件発生するという衝突事故を大幅に削減できると自信をみせている。
【線路で鉄分摂取】
「シカが鉄分を摂取するため、線路に侵入しているという研究報告は世界中どこにもなかった」。広岡成則常務はこう言って商品化までの苦労を振り返る。シカ(の肉に)はほかの野生生物に比べて鉄分が多い。レールと車輪の摩擦で発生する鉄粉を目当てに、防護柵に開いた穴を抜けたり、柵のない場所から回り込んだりして線路内に侵入していた。
シカの生態を研究した商品開発センターの梶村典彦開発企画グループ長も「餌もないのに、なぜ線路に入ってくるのか不思議だった」と語る。北海道から京都まで大学や研究所に足を運び、専門家の意見を聞いて回ったが、「それぞれの専門の知見は分かっても、核心の理由は究明できなかった」(梶村グループ長)という。鉄分を摂取しに来る生態が「他の動物にはなく、シカだけ」(同)だったことも解決を難しくした。
そうした中、シカがレールに沿って同じ場所を行ったり来たりしていることに着目。実際に鉄粉をまいて確認するなどして、開発着手から約1年後、ついに世界で初めてその生態を突き止めた。
これを基に、塩に鉄分とシカが好むミネラル分を多めに混ぜたユクルを開発。岐阜県と北海道で実地試験を行ったところ、効果はてきめん。シカの生息地内に一定数を置くことでシカの鉄分を満たし、まずは線路まで来させないようにする。 (後略)
大和製罐株式會社 HP内コラムより
第3回 「電池切れ」とはどのような状態か?
電池の延命の原理について理解を深めるため、まずは「電池切れ」について考えてみましょう。みなさん、「電池切れ」とはどのような状態かわかりますか?電池がカラになった状態だと思っていませんか?
(中略)
結論を言うと、一般的に「電池がカラ」という状態は、「電池電圧が機器の動作電圧未満になった」状態の事です。下図を見てください。市販のアルカリ1次電池は電圧1.5Vと表記されていますが、電池を使用(放電)していくと、その電池電圧は徐々に低下していきます。アルカリ1次電池1本で動く機器の動作電圧は1.0V程度に設定されているものが多いと聞きます。従って、電池電圧が1.0Vに到達した瞬間が、「電池がカラ」の状態ということになります。(後略)