「生命」と「生き方」
「3億」の重さ
先月、思春期のからだやこころの変化について話をする前に、尻尾のついた小さな○をたくさん書いてもらったのを覚えていますか? クラス全員で5分間かけて書いた数は全部足しても1万個にはわずかに届きませんでした。そこから、この尻尾のついた○を3億個書くには、クラス全員が休憩や食事、睡眠などを一切とらず、ずっと同じペースで書き続けても100日ぐらいかかるという計算結果も話しました。なぜこんなことをしたのかというと、「3億」という数字を実感してもらうことが目的でした。
3億個もの精子の中からたったひとつの精子が受精して新しい生命になるという不思議さ、神秘さといったものを知り、そうして生まれてきた君たちひとりひとりがかけがえのない存在であることを感じてほしいと思ったのです。
宇宙レベルでの生命の不思議
私たちの周りにはいろんな物質があります。そして、私たちのからだもさまざまな物質でできています。それらの物質はどうやって出来たのでしょうか。
宇宙は170億年前におきた「ビッグ・バン」から始まったということを知っている人は多いと思います。ビッグ・バンの前には「時間」や「空間」といったものすら存在していませんでした。そのビッグ・バンで物質の元になるものが生まれ、まず水素やヘリウムができました。宇宙の第一段階では水素77%、ヘリウム23%だったと言われています。でも、それ以外の物質はほとんどありませんでした。
宇宙に散らばった水素やヘリウムが重力によって少しずつ集まり、太陽のような恒星になりました。恒星の中では水素と水素をくっつけてヘリウムにする核融合が起きて、さらに核融合が進むと炭素や酸素などさまざまな物質が生まれました。でも、恒星の核融合で合成できるのは鉄までです。
それよりも重い物質は、その恒星が役割を終えて爆発をしたときなどの過程で生まれました。星がその一生を終えて物質を宇宙に撒き散らし、また新しい星が生まれ、その星が一生を終えてまた……
気の遠くなるような長い時間、こういったことを繰り返して今の宇宙になりました。今生きている君たちのからだは、遠い過去には星だったのです。現在の宇宙には水素73%、ヘリウム25%、その他の物質は2%しかないと言われています。とてつもなく大きな宇宙の中に、たった2%の物質。それが集まって太陽系の中で地球という星になり、生命の誕生へとつながりました。そういうことを知ると、ますます生命って不思議だし、生命そのものがかけがえのない存在なんだなぁってわかると思います。
新しいクラスで
さまざまな偶然がいくつも重なって、今、君たちは生きています。生きているというただそれだけでも「奇跡」と呼んでもいいようなものかもしれません。だからこそ、「生き方」についてしっかりと考えてほしいと僕は思うのです。
ダラダラと毎日を過ごしているような人を見かけることがあります。それはすごくもったいないと思います。中学生ならば行事や勉強にまじめに取り組むとか、周囲の人とのつながりを大切にするとか、いろんな場面でいろんなやり方で、充実した毎日を過ごすことはできると思います。
ここで先週金曜日の「ぴよぴよ大学」の取り組みを思い出してください。班のメンバーそれぞれが持っている知識や経験、推理力や想像力といったものはみんなちがいます。それをお互いに出しあってうまくひとつにまとめることができたら、個人の力を超えた大きな成果を得ることができること。そのためには多数決などで簡単に結論を出すのではなく、きちんと話し合うことが大切であるというような説明をしました。
周囲の人たちと積極的にコミュニケーションをとり、自分の持っている力を班やクラスなどのなかできちんと活かすことができている人は、充実した毎日を過ごしていると言えると思うのです。さらに、僕の今までの経験では、2年生のときに充実した日々を過ごした学年は3年生になってさらに大きく伸びています。この学年もそうなるといいなぁと思います。
そのためにも2週間後にスタートする新しいクラスで、コミュニケーションを大切にしながら自分の力をぜひ活かしてください。