WBCで思うこと
これは2006年に書いた学級通信です。
日本の野球が世界一
野球の世界一決定戦(WBC)が先日終わりました。僕にとっては盛り上がっているのか、盛り上がっていないのか、よくわからないうちに終わったんですが、テレビの視聴率などを見るとずいぶん多くの人たちが関心を持っていたみたいです。で、試合の結果は日本が優勝したそうで、新聞各社が号外を出し、それに殺到した人の勢いに倒されたとかでケガ人まででました。
さて、優勝したことを伝える記事を読んでいると、出場した選手たちは様々な苦労をしたようで、それらを乗り越えて優勝を勝ち取ったことに多方面から絶賛する声が届いています。でも、僕はどうも性格が歪んでいるのか、素直に喜べばいいのに違うところを考えてしまうんです。
今回のことで思ったのは、WBCに出た選手は30人。その人たちはすごく努力をしてきただろうし、本当によく頑張ったんだろうと思います。でも、その30人の影にはものすごい人数の選手がいるんだろうなってことです。5組にも野球を続けている人たちがいます。でも、その人たち全員がプロになるのは難しいだろうし、さらに選ばれて次の2009年は早すぎるから、その次の次ぐらいのWBCに出られるかというと、超が何個つくのだろうかぐらいは難しいでしょう。出場した選手が感じなければならない「責任の重さ」とかの根源はここにあると思います。代表に選ばれた人は選ばれなかった人のことも考える謙虚さを忘れず、大きな舞台で自分にできる最高のプレーをめざし、選ばれなかった人は選ばれた人を支えている大勢の中の一人が自分だと自覚して、素直に応援することができたら、お互いにとってすばらしい人間関係だと言えると思うのです。
人のつながりの中で
もう一つはチームワークのことです。いろんな球団から来た人たちと、急にひとつのチームを作らなければならなかったわけですが、それは大変なことだったと思います。
今まで何度もみんなに伝えてきましたが、人間は人間とつながっています。深く、そして非常に複雑に。それを短期間の内に作り上げるのは、相当高い意識と努力を必要とするでしょう。それは困難だからといって、チームワークを無視するような人間は、自分の存在そのものを否定することにつながりかねません。
例えば、運動能力が高く、技術もきちんと身につけている人が、自分よりも上手ではないチームメートを見下し、場合によってはジャマだと考えていたらチームワークは成立しません。その人は、試合前にボールの手入れや試合会場の準備をした人の存在を無視しています。自分が得点できたとしても、その前の得点につながる同じチームの仲間のプレーに感謝しないこともあったりします。その結果、自分の能力を活かせないような結果になることもあるんです。
「チームワーク」にはいろんなパターンがあります。みんな横並びで仲良しチーム。一人が中心のワンマンなチーム。メンバーそれぞれの持ち味を活かして状況に合わせて自由自在に対応するチーム。そういったことを理解して、チームのつながりを大切にし、チームの中で自分の能力をどう活用するかを考えるかどうかで、結果は違ってくるのではないでしょうか。
5組はどうか
5組は良いクラスだと感じている人がたくさんいるようです。人間関係とかいろんな要素をまとめてそう感じられると言うことは、喜ばしいことです。でも、それは誰のおかげでしょうか? 僕は、そう考えること自体がおかしいかもしれないと思っています。担任である僕も含めて、誰か一人だけの活躍でこのクラスができあがったのではないと思うのです。WBCではMVPを選んでいましたが、クラスではそんなものを選べません。行事だけに限定したらMVPを選べるのでは? なんて考える人、いませんよね? 成功したのは「みんなが力を合わせた」からでしょう? 誰か一人を選ぶなんてできません。
お互いの影響力が微妙に絡み合って、クラスは集団として成長したりしなかったりします。逆の場合、つまり、良くないクラスがあったとして、その場合も誰か一人だけが原因でそうなったとは言えないと思います。
1カ月後、新しいクラスで修学旅行の準備が進んでいるはずです。みんなの心の中では、どんな人と同じクラスになって、担任の先生は誰か、不安や期待が渦巻いているのかもしれませんが、それは誰にもわからないし、心配してどうにかなるものでもありません。僕だって、◇◇中学校に残れるのか、残るとしても3年生の担任になれるのか、誰を担任できるのかなど、自由に決められるわけではありません。ここはなるようになると腹をくくるしかないところです。
でも、与えられた情況の中で自分のベストをつくして、良いクラスをつくろうとすることは誰にでもできることだし、そうすることが1年後に笑顔で卒業できるかどうかの重要な鍵だと思います。自分にできることをやる。それが良いチームワークを作ることになるし、前向きな生き方につながると思います。