笑いの種類とやさしさの種類
調理実習で
先週と今週、技術・家庭科の授業で調理実習をやりました。内容は幼児向けのおやつで、「栄養補給につながるもの」「安全なもの」という要件を満たし、さらに親子のふれあいにつながるように、幼児も一緒に作ることができるようなものをつくりました。
飲み物も用意したんですが、さすがにそこまで幼児向けのものにしなくてもいいかということで紅茶かコーヒーを選んでもらうことにしました。が、6組の中に、他人のカップに大量の砂糖を入れて喜んでいる人たちがいました。
食べる物が充分にないとか、医薬品や教育に必要なものが不足している人たちが世界にはたくさんいて、少しでも手助けができたらいいなということで、◇◇中でユニセフ募金に取り組んだのは1年ほど前ですよね。募金の期間が過ぎたら、もう終わりですか? 何も考えないでいいのでしょうか? 僕は、食べ物で苦労した経験があるので、なおさら食べ物を粗末にするような行為は、認めたくありません。
笑いの種類
もうひとつ、みんなに覚えておいて欲しいことは笑いの内容です。意表をつかれて笑う。失敗をごまかすために笑う。何かを達成して笑う。などなど「笑い」にはいろんな種類があります。
テレビで若手芸人などをひどい目に合わせて笑いものにする番組をたくさん見ていて、無意識のうちに同じようなことをしてしまう人が多くなってしまうのかもしれませんが、他人のカップに大量の砂糖を入れて、その人が困っているのを見て笑うなんてのは、やっぱり君たちが目指すべき笑いではありません。なぜなら、そこにいるすべての人が心から笑える内容ではないからです。一部の人は笑えるかもしれない。でも、それ以外の人が嫌な思いをするのであれば、それは場合によってはいじめになってしまいます。
気のおけない友達と一緒にいることで自然にこぼれる笑い。クラスの中に居場所があってほっとできるときに顔ににじみ出るような笑い。そういったみんなが心から笑えるような、そんな笑いを目指すべきではないでしょうか。
やさしさにも種類がある
私事で恐縮ですが、昨年の暮れ、アイススケート教室の新聞チラシがありました。それを見て、オリンピックに影響されたわけでもないけど、子どもたちにスケートを経験させてみようかという話になり、妻が申し込みに行くことになりました。ちょうど受け付けを開始する時間に着いたんですが、すでに数十人も並んでいる状態。しかも、ひとりひとりの手続きに時間がすごくかかり、3時間待ってもまだ順番がまわってこなかったんです。
並んでいる人たちは当然イライラするし、妻も一番下の子の幼稚園の迎えの時間が気になって大変だったようです。でも、そんな状況の中、並んでいる見ず知らずの人たちがごく自然にお互いに協力しだしたというんです。寒い中で長時間並んでいるからトイレに行きたくなります。そこでお互いに声を掛け合って交代でトイレに行きました。まだ幼稚園にも行かないような幼児を連れていて、その子がぐずりだして困っているお母さんには、近くの公園に行ってもらいました。他にいろんなことがあったそうです。まだまだ日本も捨てたものじゃありません。
すごいなぁと思ったのは、時間をすごく気にしている妻の様子を見かねて、「私が代わりに申し込みをしてあげましょうか? お金を預かることになりますし、住所や電話番号を私が見てしまうことになりますけど。その紙は、きちんと処分しますから、それでよければ。」とおっしゃって下さった方がいたこと。その人権やプライバシーに配慮する感覚もすごいし、そのご好意に甘えた妻もすごいと思ったのです。
人が持っているやさしさにもいろんな種類があります。人に対して何かをしてあげるというやさしさはすぐに分かると思いますが、他にわざと相手に厳しく対応することが本当のやさしさだということもあります。結構気づきにくいのが相手の優しさを受け入れること。意地を張って拒否したり、変に遠慮したりすることなく、状況に応じて相手の好意にきちんと甘えることも大切なやさしさです。
やさしさを押し付けることになったら迷惑だし、甘えるばかりで周囲にやさしさを要求するようになっても困ります。文字にしてしまえば『相手のことをどこまで考えることができるか』ということに尽きると思いますが、大人にとってもこれはかなり難しいことです。君たちは、これからいろんな人といっぱい触れ合い、その中で少しずつ学んで、『本当のやさしさの使い方』を身につけた大人になってください。