コンピュータvs人間
※これは、AIが本格的に登場する前の2009年に書いたものです。
突然ですが問題です
突然ですが、ここで問題を出します。次の文の意味、わかりますか?
Full E care , cow was tow become me zoo know auto.
知らない単語があるとか、英語は苦手でわからないと言う人は、とりあえず適当に何度も声に出して読んでみるとわかるかもしれません。アルファベットが並んでいたから、これは英文だと思いこんだ人には難しい問題だったと思います。正解は、その発音にあいそうな単語を並べただけの、松尾芭蕉の俳句でした。
コンピュータvs人間
コンピュータと人間が、学習能力について競った場合、どちらが勝つでしょうか。コンピュータは計算速度が早く、膨大な量のデータを同時に扱うことができます。また、用意されたプログラムや入力されたデータに間違いがなければ、ミスをしません。それに比べて人間はあまり多くのデータを同時に扱うことはできないし、ミスをするのは良くある話です。
それでは、人間はコンピュータ以下の存在なのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。その証拠に、さっきの英文(?)をパソコンの翻訳ソフトで試しに翻訳させてみると『完全なE の心配、牛は牽引似合う私にだった動物園は自動車を知っている。』となりました。
コンピュータはあらかじめ想定された範囲内であれば、その能力を十分に発揮することができますが、想定された範囲を超えた状況に遭遇すると、対応することはできません。時々、想定外の事態に対応できなかったためにコンピュータシステムのトラブルが発生したというような報道があります。『想定の範囲』、それがコンピュータの限界とイコールなのです。状況が変化したときに、臨機応変に対応する柔軟さでは、コンピュータは人間に勝てません。
人間の学習能力
みんなに、もう一度同じような英文っぽい俳句を見せたら、こんどはすぐに理解できるでしょう。人間には学習能力があるからです。一度経験したことを記憶し、その記憶をもとにして新しい状況に対応できるようになる。それが学習能力です。
人間の面白いところは、この学習能力が無意識のうちにはたらいていることがあると言うことです。例えば、公園のはしっこの方に入り口が二つある建物があったら、それはトイレだと理解できる人はたくさんいます。さらに、一方の入り口がピンクで、もう一方が水色だったら、自分はどちらの入り口から入ればいいのかも理解できます。そういうものだと誰に教えてもらってなくても、自然に学習して対応できているんですね。
授業中に先生が教えたことを無意識のうちに、しかも自然に学習することができたら、便利だと思います。もしかしたら、そういうことができる状態が、授業に集中しているってことなのかもしれません。ま、そのあたりは学習心理学かなんかの領域だと思うので、とりあえずおいておきましょう。
もうひとつ、学習に関して僕が興味を持つのは、記憶力と学習能力との関係です。授業で習ったこと、生活の中で経験したことなどを活用できない人がいるんです。人間は、興味のないことには記憶力が働きにくいものですが、そうではなく、しっかり記憶していても、それを活用することができない人がいるんです。どうやら、記憶したことを状況に合わせて活用する能力のスイッチが、うまくはたらかないみたいです。
確かに、脳は記憶を担当する部分と、記憶を活用するために考える部分は違います。でも、普通、そこをつなぐ回路みたいなのはしっかりあるはずなんです。それが……。 つまり、記憶力と学習能力とは比例しないことがあるということです。
テストの点数はそんなによくはないんだけど、何かの拍子に「この人は賢いなぁ」と感じる人がいます。おそらく、その人は自分の記憶や体験を活用できているのです。逆に、テストで高得点はとるけど、話をしていると何を考えているのか不思議に感じる人もいます。「これはあの授業で教わったやろ?それの実際の例やで」って言うと「あ、そうか」って気がつくような人です。最近、そういう人がどんどん増えてきているように、僕は感じています。
ではどうしなければならないか、この説明の続きはまた。