職場体験 シミュレーション物語 中編
⑤携帯ショップで
体育さんがボヤいています。「携帯ショップやったら、2日間自由にスマホいじってられると思ってたのに。ケチやな。」
教訓⑦:職場体験は遊ぶための取り組みではありません。
突然、お客様の一人が意識を失って倒れました。職場の人が素早く駆け付け救急対応を始めました。店内は騒然とした状態になりましたが、体育さんは冷静です
「店長は119番に電話して、救急車の出動要請をしてください。私は店を出て左へ82m41cm進んだところにAEDがあるので、急いで借りてきます。」と言ったかと思うと店を飛び出しました。判断が早い。さすが普段からAEDの設置場所を調べているだけのことはありますね。
46秒後に体育さんが店に戻ってきたときには、心臓マッサージが始まっていました。すぐにAEDのパッドを装着し電源を入れ、音声案内に従って電気ショックなどの対応をしているうちに、救急車が到着してお客様は病院に運ばれました。その後、倒れたお客様は体育さんが借りてきたAEDが役に立って、無事に回復したそうです。
教訓⑧:職場体験では何が起こるかわかりません。冷静に行動しましょう。
⑥本屋で
文学に関することにはとっても詳しい国語さん。お客さんの対応もスムーズです。
「この本を探しているんですけど、どこにありますか?」
「その本でしたら、こちらになります。
この本の作者は、◇◇◇という本も書いているのですが、お読みになりましたか? まだでしたら、ぜひ。ページ数が多めですが、とっても面白いですよ。おすすめです。」
「あら、そう? 確かに面白そうね。じゃぁこれも一緒に買います。」
「ありがとうございます。もしもこの本を読んで、面白いと感じられたのであれば、次は〇〇〇を読んでみてください。来週文庫版が発売です。」
その様子を見ていた店長が
「国語さん!頼む!職場体験が終わっても、ずっとこの店で働いて!」
教訓⑨:やる気を持って仕事に取り組みましょう。きっと良い経験になります。
⑦家電量販店で
お店の入り口あたりがちょっと騒がしい。日本語がほとんどわからない外国人旅行者が来て、言葉が通じないので困っているようです。そこで英語さんが
「私、英語は得意なので、話をしてみましょうか?」
「ありがたい。頼むよ」
英語さんは、その外国人旅行者のところへ行き、身振り手振りを交えながら楽しそうに30分ほどやり取りをしていましたが、やがて外国人旅行者は帰っていきました。笑顔で両手を大きく振りながら見送った英語さんと店長の会話。
「英語さん、あの外国人とどんな話をしたの?
「実は、あの外国人旅行者はフランスの方だったので、英語ではぜんぜん話が通じませんでした☆」
「すごい!英語さんは、フランス語も話せるんだ!」
「いいえ、ぜんぜん♡」
「えっ? あの笑顔で楽しそうだった30分は、何?」
教訓⑩:自分の得意なことを生かせるチャンスがあれば、ぜひ挑戦しましょう。
⑧ファミリーレストランで
配送トラックが到着したので、食材の段ボール箱をみんなで協力してバックヤードに運びます。社会科が得意な社会君。食材に関する地理の蘊蓄(うんちく)を語ります。
「キャベツは日本中で栽培されていますが、気温などそれぞれの産地の自然環境が違うので、出荷される時期も違ってきます。夏だったら長野県や群馬県の涼しい高原地帯のキャベツが出回りますが、今の時期だと暖かい九州産のものが多いです。このように時期によって産地が移動していくことを「生産地リレー」といいます。
次の箱は、ブリですね。ブリは出世魚といって、成長に伴って名前が変わる魚です。関西では ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ ですが、他の地域では名前が違います。またブリは回遊魚で、日本列島に沿って初夏に北上し、秋から冬にかけて南下する季節回遊を行うので、ブリも時期によって水揚げされる地域が変わります。鹿児島、大分、愛媛などでは養殖も盛んで、養殖のブリもたくさん出回っています。」
「社会君は、物知りですね」
「ありがとうございます。」
「いや、ほめてないから。しゃべっている間、ずっと手が止まっているので注意をしてるんです。ちゃんと仕事をしてください。」
「すみません。」
教訓⑪:職場体験中は、何をしなければならないのかを、常に考えるようにしましょう。
⑨保育園で
中学生のお姉さんやお兄さんが来てくれたことがうれしくて「遊ぼう」「絵本読んで」など4~5歳の幼児たちは積極的に集まってきます。
理科君は、幼児と話をするときはしゃがんで話をします。目線の高さがそろうと、幼児たちは安心して話せることを事前に調べていたのです。そのせいか理科君のところにはたくさんの幼児が集まってきました。
人気者になった気分の理科君はファンを増やそうと1歳児の部屋に入りました。すると突然1人の子が泣き始めました。理科君は「大丈夫だよ。僕は怖くないよ。」と声を掛けますが、他の子どもたちも泣き始めて泣き声の大合唱になりました。
この年齢の幼児によくあるのが「人見知り」。人の顔や表情を認識できるようになり、さらに情緒が発達、分化がすすむころです。知らない人が近づいてくると恐怖を感じながら好奇心も生まれ、相反する情緒が脳内でぶつかりあうことになり、うまく処理できなくなって大声で泣いてしまうことがあるんです。泣き声の大合唱は、これが原因です。
そこまで調べてなかった理科君は「1歳ぐらいの幼児の子育てには自信があったのに」と落ち込んでいましたが、保育士の先生は「こういった実際の体験をすることが職場体験だからね。いい経験になったと思いますよ」と言ってくれました。
教訓⑫:事前に調べて学ぶことは大切。でも実際に職場で体験することも大切。
職場体験 シミュレーション物語 後編 に続く ↓