学年通信 ラジオ と 人を育てる はなし

アーティストを育てる

 3年生は、技術科の授業で作っているラジオがそろそろ完成するころです。それまでそんな習慣がなかった人も、授業で作ったことがきっかけになってラジオを聞くようになることもあります。もしかしたら、どのラジオ局を聞くかという話をするかもしれません。夜遅くに放送している芸人の番組が好きだと言う人もいたり、音がクリアに聞こえるFMの音楽やDJの声が好きだと言う人もいたりするかもしれません。
 僕は、FM802を聞いています。FM802の番組内容も好きですが、ラジオ局として持っている姿勢が大好きです。ラジオなんか聞いたことがないって人もいると思うので、少し説明したいと思います。
 その前にちょっとクイズ。BUMP OF CHICKEN、ゆず、あいみょん、マカロニえんぴつ、Official髭男dism、フレデリック、ヨルシカ、藤井風… これらのアーティストたちの共通点は何でしょう?
 答えは『FM802のヘビーローテーションに選ばれたことがある』です。FM802では、毎月洋楽邦楽それぞれ一曲ずつ選び、毎日何回も放送で流すということをやっています。それがヘビーローテーションです。音楽の才能は持っているけどまだ有名になっていないアーティストを育てるため、1ヵ月間毎日何回もラジオで流すのです。それがきっかけで人気に火がつき、有名になったアーティストがもう何人もいます。
 ヘビーローテーションに採用されたからといって、必ず全員がヒットするとは限りません。でも、有名になった人は多いです。そんな才能を見抜く力もすごいと思うのですが、若いアーティストに大きなチャンスを与え、アーティストを育てようとする姿勢がいいなぁと思うのです。

リスナーを育てる

 FM802は、アーティストを育てるだけではなく、リスナー(ラジオを聴く人)も育てようとしています。
 昨年5月に3年ぶりに有観客で開かれた『Meet The World Beat』というイベントもそのひとつです。AI、Creepy Nuts、go!go!vanillas、高橋優、Vaundy、miletといったアーティストが参加して、それぞれが自分の曲を披露しました。万博広場という大きな野外会場に1万4000人が集まり、音楽のお祭りのようなイベントだったようです。1990年から続くこのイベントはコロナ前には海外からのアーティストも参加していました。
 このイベントの入場料は無料です。FM802の番組を聞いて応募した20万通の中から抽選で選ばれた人に入場券が送られてくるんです。観客は全員が無料で入場しています。生の音楽に触れて音楽のことを好きになる人を増やそう。育てよう。そんな姿勢が、僕は大好きです。自分たちのことだけを考えるのではなく、周囲との調和を大切にし、でも自分の考えをはっきり主張しているように思えます。

阪神・淡路大震災で

 1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生しました。停電、断水などが発生し、ビルの倒壊や大規模な火災、鉄道の線路や道路の損壊などの影響で商品流通システムが機能しなくなったため、避難所は品不足の状態になりました。
 FM802は、避難所ではすぐに食べられる食料、飲み物、乾電池、かぜ薬などが不足していること。それらをまとめて買うことが難しいこと。現地に運ぶ手段は人が歩いて運ぶしかないこと。余震が続いているので安全が保障できないこと。これらのことをきちんと伝えたうえで、それでももしできるならば自分が住んでいる地域で、自分のお金で、避難所が求めている商品を買って、電車で行けるところまで行って、あとは歩いてその商品を避難所へ届けることに協力していただける方はいませんか、と呼びかけました。集合場所に来てくれたら、避難所への地図をお渡しします と。
 その結果、2日間で8000人以上の人が集合場所に来て、神戸の避難所に向かいました。FM802の人を育てようとする姿勢は正しかったと思います。
 僕も人を育てたいと考えて、去年の9月から学年通信を書いてきました。読んだみんなの中に何かが育っていたら、それはとてもうれしいことです。