一人暮らし と 責任の話

昔の教え子からの年賀状

 今年届いた年賀状に「念願の一人暮らしを始めました」と書いていた昔の教え子がいました。そういえば中学生の時から一人暮らしへの憧れを熱く語っていたよなぁなんてことを思い出しました。
 「自分で自由に生活できる一人暮らし」に憧れている人は5組の中にもいるんじゃないかと思います。そこで、一人暮らしをするには経済的にどれくらいの費用が必要なのかを調べてみました。大学を卒業して、就職する機会に一人暮らしを始めたと想定して話を進めます。

一人暮らしの費用

 まず、収入ですが大卒の平均初任給は198,800円です。キリのいいところで199,000円としましょう。ただし、ここから社会保険料が30,000円ほど引かれます。実際に手元に入る金額は169,000円です。1年目は引かれないことがほとんどですが、2年目からはさらに所得税が5,000円ほど引かれます。
 ここからは具体的な支出の話です。まず、住む家の家賃ですが、交通の便の良いところは家賃が高いし、交通の不便な地域だと家賃が安くなるけどその分交通費がかかります。あまり安すぎる物件は部屋にトイレや風呂がないなど条件で難しい場合があるし、生活時間のちがう入居者がいて夜中まで騒いで眠れないといったトラブルも多いようです。また、安い物件は地震や防犯対策などの面でも不安です。とりあえず平均的な月70,000円の部屋を借りるとします。残りは99,000円です。(敷金、礼金、引っ越し費用などは除外しました)
 光熱費は、電気代4,500円、ガス代3,000円、水道代2,000円ぐらいかかるようです。さらに、ネットの接続料や携帯電話代で12,000円、洗濯用の洗剤やティッシュなどの日用品をまとめて5,000円とすると残りは72,500円です。
 社会人になると職場の人とのつきあいや冠婚葬祭に関する交際費は必要です。これを20,000円とします。食費は、すべての食事をコンビニ弁当などで済ませるとなると1回500円としても ×3食×30日で毎月45,000円もかかってしまいます。自炊中心にして安い食品を買うようにすると25,000円ですむのでこっちにしましょう。また、将来に備えて貯蓄に15,000円まわすと残りは22,500円です。
 この22,500円で会社に着ていく服やメイク用品などの購入代、髪の毛をカットする理美容代、新聞の購読料、病気や事故などで入院する場合に備えて医療特約のついた生命保険料などをまかなうのは結構難しいと思います。それどころか、油断しているとCDや雑誌を買うこともできません。貯蓄をやめにすると毎月の生活は楽になりますが、友達から旅行に行こうと誘われてもお金がなくて行けなくなるかもしれません。

時間のやりくりも大変

 一人暮らしは経済面だけではなく、時間のやりくりも大変です。朝起きたら洗濯物を洗って、朝食とお弁当の準備をして、洗濯物を干して、朝食を食べながら新聞を読んで最新のニュースをチェックし、チラシもちゃんと見て仕事の帰りに買う食品を考え、着替えて身だしなみを整えて出勤します。(ゴミの日にはゴミ出しもします)
 仕事が終わったら帰りにメニューを考えながら食料品の買い物をして、家に着いたら洗濯物を取り込んで夕食を作り、夕食がすんだらお風呂を沸かしながら食器洗いや洗濯物をたたんだりし、入浴したらもう自由に使える時間はそんなに残っていません。2時間ほど残業してから帰ると残業したの分の収入が増えますが、時間的にはもっと大変です。
 休みの日にはどこかに遊びに行こうと思ってもお金に余裕がありません。仕事に慣れるまでは覚えることが一杯で精神的にも肉体的にも疲れがたまっているので、休日は昼までダラダラ寝て過ごし、午後は部屋の掃除などをしていた友人がいました。

責任を背負う

 このように一人暮らしは大変ですが、精神的な面での充足感は得やすいし、自分の生活を自分で考えて構築していく経験はその後の人生につながる良い経験になるとは思います。だから、僕は一人暮らしを積極的に勧めもしないし、否定もしません。自分でよく考えた上で決めたことであればいいと思っています。
 ただし、大人になっていくにつれて、決めたことの責任はすべて自分自身で背負わないといけなくなります。だからこそ単なる憧れだけで決めるのではなく、正確な情報を集めて、よく考えて決めることが大切なんだということを理解してほしいです。