正しい情報と理解する態度
※この学級通信は2010年に書いたものです。
技術の進歩
技術の進歩のスピードは、ものすごいですね。仕事上、どうしても最新のパソコン関連の情報は知っておきたいので、その方面の情報をチェックし、たまにメーカーのHPを見ます。すると、半年もすれば新しい機能を搭載した製品が登場していて、驚いてしまうことがあります。
技術が進歩したおかげで、非常に便利になったという話はたくさんあります。たとえば電話。固定電話しかなかった時代、電話は聴覚しょうがい者にはまったく使えないもののひとつでした。まず電話の呼び出し音が聞こえません。電話がかかってきたことをピカッと光って教えてくれる装置もあったのですが、それに気づいて受話器を取っても相手の声を聞き取ることが出来ません。
しかし、技術が進歩して携帯電話が登場すると聴覚しょうがい者はみんな携帯電話を持つようになりました。メールでやり取りができるからです。友人と待ち合わせていて遅れそうなときにもこれで連絡ができます。事故などが原因で電車が全面ストップして、その説明の構内放送が聞こえないのでいつまでも駅で電車を待っているような事が昔はありましたが、携帯電話でインターネットを見れば最新の情報を得ることができます。こんな具合です。
ビデオ通話
技術がさらに進歩してビデオ通話って言うんでしょうか、お互いの顔などを見ながら話をすることも可能になりました。この機能を紹介するのにカップルが手話を使って会話しているCMが流れていました。見たことがある人は多いと思います。
どうしてもメールでは微妙な気持ちの表現などがうまくできません。手話だと手の動かし方や表情をうまく使って、自分の気持ちなどをとても豊かに表現できます。だから、メールではなく直接手話で遠く離れた人と会話ができるこのビデオ通話の機能は、携帯電話をさらに聴覚しょうがい者にとって便利に使える、なくてはならないものにしてしまうのかもしれません。
さて、さっきCMの話のときに「カップル」だと書きましたが、なぜ、そう言えたかわかりますか? それは、別れ際に二人が親指と人差し指と小指を立てた状態で少し振るように動かしたからです。
手話の中には、ひらがなのようなものやアルファベットを表現するものがあります。アルファベットで言えば、小指だけを立てたらそれは「I」になります。親指と人差し指を立てたら「L」です。親指と小指なら「Y」といった具合です。親指と人差し指と小指を立てた状態は、このIとLとYをミックスしたものなんです。そして、意味は「I Love You」です。
正しい情報と理解する態度
僕は、昔少しだけ手話を勉強したことがあるといつか話したことがありましたね? その関係で手話の「愛してる」のサインを知っていたから、さっきのCMを正しく理解することができました。正しい情報が正しい理解と判断に結びついたのです。このことはすごく大切なことだと思っています。
不充分な情報や間違った情報が誤った理解と判断につながることは案外多くて、悲しいことにそんな中から「差別」や「人権侵害」が生まれてくることがあります。だからこそ、君たちには正しい理解と判断ができる正しい情報をきちんと身につけて欲しいと願っています。そのために、1年生は様々な差別について本やインターネットで学び、今週の金曜日にはリバティ大阪で展示を見て、さらにフィールドワークに取り組みます。でも、それだけでは不充分です。
もうひとつ大切にして欲しいと思っていることがあります。それは、正しく理解しようとする態度とか姿勢といったものです。正しい理解のためには情報が必要ですが、情報がたくさんあっても必ず正しい理解につながるとは限りません。また、「差別」や「人権侵害」をしている人たちの中には、自分自身でそのことに気がついていないこともよくあります。正しく理解しようとする態度とか姿勢があれば、そのことに「気づく」ことができる可能性が高まります。
今回の取り組みでは、そういったことも考えながら、ぜひ、有意義なものにして欲しいと思います。