学年通信 「トイレの表示」の はなし

新しいトイレの表示

 学校のトイレの第1期工事が終了し、2年生が使うトイレの半分が新しくなりました。入室すれば照明が自動で点灯し、手洗い場も含めてトイレ内の備品はきれいなものに変わりました。
 変わったのはそれだけではありません。トイレの前の表示も変わりました。古いトイレは入口に「女子便所」「男子便所」と文字だけの表示でしたが、新しいトイレはピクトグラムになりました。ピクトグラムは読字障害の人にもわかりやすいという側面があるので、見てすぐにわかりやすいと感じた人もいるかもしれませんね。
 でも、男女別のピクトグラムは時代遅れかもしれないって、知っていますか?

時代遅れかもしれないピクトグラム

 図の形を見ると女性はスカート、男性はズボンで表現されています。でも女性でもズボンを、男性でもスカートを着用したい人もいるし、実際に着用する人もいます。それなのに女性はスカート、男性はズボンが当然であるかのようなピクトグラムを使っていいのでしょうか?
 色はどうでしょうか。女性は赤、男性は青になっています。特に違和感はないという人もいると思います。でも、それはこのような使われ方を何度も見てきた結果、思い込まされている可能性があります。色の感じ方は多様なはずで、女性・男性それぞれをイメージする色は人によって違っていてもおかしくないのに、女性は赤、男性は青と固定化されているのはおかしいのではないか という考え方もあるのです。

ニューヨークのトイレ

 ニューヨークでは、誰もが使いやすいトイレにするように法整備が進んで、学校や商業施設、レストランなどのトイレの個室は男女別にするのではなく、誰でも使えるトイレにするようになりました。具体的には個室の数を増やし、その入り口もそれぞれ個別に作るのです。多目的トイレが並んでいるイメージです。性自認との関係で男女別のトイレだと入りにくい人も、これなら気にせず入れます。
 表示もWomenとMenではなくAll Gender(オールジェンダー すべての性別)にして、ピクトグラムも工夫されています。車いすの人も使える場合もあり、その場合は車イスのピクトグラムも追加されます。このようなトイレは、日本でも増えているのでいつか見かける日もあると思います。

 残念ながら、もともとのトイレの面積などの条件があって、今回の工事でそこまでの改造はできません。でも、まったく何もしていないわけではありません。男子用トイレで、個室が2つになったところがあります。ほんの少しの違いですが、使いやすくなったと感じる人はいると思います。

生活しやすい社会

 マイノリティ(少数者)のためにそこまでやる必要があるのか? そう考える人がいるかもしれません。でもマイノリティにとって生活しやすい社会は、誰にとっても生活しやすい社会だと考えられます。
 例えばランドセルの色を選ぶ時、昔は黒を選ぶ女子や赤を選ぶ男子を見かけることはなかったと思います。女の子らしい色は赤、男の子らしい色は黒という固定化されたイメージがあって、それに合わせない人は周囲からいろいろと言われたりしたことが原因だと思います。今では色の種類も増えて自然に自分の好きな色を選ぶようになりました。価値観の変化が進んで個性を大切にする意識が浸透してきたのだと感じます。
 このトイレについての話も、マジョリティ(多数者)がマイノリティに配慮するというとらえ方ではなく、素直にひとりひとりの個性を大切にするのだ、と考えればいいと思います。周囲の人は個人の個性を大切にする。個人は周囲の人の個性を大切にする。そして自分は自分の個性を大切にする。それが自然にできる社会は、誰にとっても生活しやすい社会だと言えるし、みんなで目指したい社会です。