「よい鏡」になるには
良い所探しのねらい
普段の学校生活を見ていると、ケンカしているわけでもないのに相手に対して「きしょい」とか「死ね」とか、人を攻撃するような言葉が飛び交っています。そんな状況ではより良い人間関係は生まれません。人を攻撃してイヤな気分にさせるのではなくて、ほめることで相手を良い気分にさせる。そんな経験をしてほしいです。一昨日やった「良い所探し」のねらいの一つが、ここにあります。
次に、周りの誰もが自分のことを好きじゃないとか、自分にはいい所がないとか、そういう風に自分のことを否定的に見ている人もけっこういるんです。これを『自己肯定感』とか『自尊感情』を持つことができない状態といいます。自分の良い所が見えない。自分は何の価値もない人間だ。そんな気持ちをずっと引きずってしまい、自分で自分を素直に認めることができない状態です。
そうなってしまった原因は様々だと思うし、もしかしたら何年もかけてそうなってしまったのかもしれません。長所のない人なんていないのに、自分に自信が持てず、自分で自分を否定する。なんか、悲しくなってしまいます。
そこで、自分のことを別の視点で振り返って、自分をもう一度見つめ直してもらおう。そして、自分にもこんなに良い所があるんだと感じてもらおう。これが、ねらいの二つめです。もらったカードを班の中で読んでもらいましたね? 自分で自分の良い所を、班のみんなに声に出して読むことで、自己肯定感、自尊感情をしっかりとつかみ取ってほしい。そんな願いが込められているのです。
ストローク
昨日の学級通信で、『良い鏡になってください』と書きました。『良い鏡になる』とはどういうものでしょうか。その説明をする前に、『ストローク』という言葉を覚えてください。もともとは、なでるとかさするといった意味ですが、ここでは相手に対して良い気持ちやイヤな気持ちにさせる、こちらからのはたらきかけだと思ってください。
人は、必ず人とふれあう中で育ち、お互いに影響を与えたり与えられたりしています。その影響を与えるはたらきかけがストロークです。ストロークには3つの種類があります。
① プラスのストローク
安心感を与えたり、自信を持たせるなど相手を良い気持ちにさせるストロークです。
② マイナスのストローク
傷つけたり、悲しませるなど相手をイヤな気持ちにさせるストロークです。
③ ゼロのストローク
無視をするなど、相手に対してできるだけエネルギーを使わないようにするストロークです。
ストロークは、赤ちゃんでも出しています。親の顔を見るとニコッって笑う赤ちゃんの笑顔がそれです。その赤ちゃんの笑顔に、親も笑顔で答えます。赤ちゃんからのプラスのストロークに親からのプラスのストロークを返すという、ストロークのやりとりを自然に行っているのです。もしも、赤ちゃんからの笑顔に対して親が無視を繰り返せば、やがて赤ちゃんは笑顔を見せなくなってしまいます。ストロークによって、人は大きな影響を受けるのです。
ストロークをもっとくわしく研究すると、言葉によるストロークと、態度や行動によるストロークがあること。意識して出すストロークと無意識のうちに出すストロークがあること。個人だけではなく集団で出すものもあること。などがわかっています。
よい鏡になるとは
「良い所探し」の時に、決められた9人以外にも良い所を書いた人は、プラスのストロークを出したわけです。時間があったのに、予備のカードに何も書かなかった人はゼロのストロークを出したと言えるのかもしれません。ストロークの感覚が少しはつかめたでしょうか。
人は本当の自分がわからないことがあります。周りの人がそのことを教えてあげることは、まるで鏡に映った自分を見ることと似ています。そして良い鏡になるということは、その人のよい所を伝えるということ。積極的にプラスのストロークを出していくことなんです。少し意識するだけで、よくないストロークを減らし、プラスのストロークを増やすことはできます。
先日、教育相談の中で、『クラスのみんなのおかげで自分に自信がつきました。人を信じられるようになりました』という話をしてくれた人がいました。周りからいっぱいプラスのストロークをもらって、その人は変わることができたのでしょう。そう考えると、君たちはよい鏡になって人を変えるというすごいことをやってのけたんですよ。自分に自信を持ったその人は、これからクラスの中でプラスのストロークをどんどん出していくと思います。それがまた誰かを変えていくのかも……
良いクラスとは、プラスのストロークがあふれているクラスのことかもしれませんね。