すごい と 布石 と ごめんなさい
職員室で
5組の劇が終わった後、職員室などでいろんな先生方からたくさん声をかけていただきました。小学生役の男の子たちがかわいかった。OHPで投影した絵のこと。数々の道具類のこと。原作やストーリーのこと。2年生であんな劇ができるとは思いませんでした。劇でどんなことができるのか、その数々を見せてもらいました。といった内容だったと思います。
きっと、この先生方は、ぼくがしっかりと指導したからあんな劇ができたんだと考えているんだと思います。でも、実はそうではなくて、担任であるぼくが、最初から最後まで全部通した練習を一度も見たことがないなんて、多くの先生方には信じてもらえないと思います。
担任としてごめんなさい
いつだったか、ぼくは生徒会の文化祭の担当だから、学校全体のことを見なくちゃいけない。そのために、5組につけない時間が多いだろうから、しっかりたのむ。そんなことを言いましたね。ま、結果はその通りになって、昼休みには教室にいないことが多いし、放課後でも他のクラスの人に呼ばれて教室からいなくなることもしばしばでした。
ただし、こんなにも教室にいる時間が少なくなってしまうとは、思ってはいませんでした。教室にいる時間が少ないので、例えば役者の人たちに対する演技指導は途切れ途切れになるから、役者たちにしてみたら自分たちで考えたことが突然かきまわされるわけで、腹の立つようなこともあったんじゃないかと思います。充分な練習時間をあげることができなかった係もあるし、申し訳なかったと思っています。
本番前日、やっと教室に行けたと思ったら、また他のクラスの人が来て教室を抜けることになった時は、「おれだって、担任やねんぞ。明日が本番や。もっとクラスについていたいんや!」って叫びたい気持ちでしたと、今ここで書いたって言い訳にもならないでしょう。他のクラスの脚本にアドバイスをするなど、少し力を入れすぎたのかもしれません。とすれば、ぼくが蒔いた種です。でも、そのしわ寄せが、もろに5組がかぶったわけで、本当にごめんなさい。
未来への布石
さっき「ぼくが蒔いた種」だと書きました。ある意味で、それは本当のことです。ぼくは、去年から生徒会の担当になって、よりよい文化祭をつくるために脚本、音響、照明といった講習会を開いたり、オープニングイベントの企画を手伝ったりしてきました。それまで、この学校にはこういったものがなかったんです。
でも、ぼくが◇◇中学校にいられる期間はそう長くありません。8年以内に転勤することが基本ですから、6年目のぼくはそろそろ転勤です。早ければ、来年春には◇◇中を去ります。講習会はどうなるんでしょう。◇◇中にいる間に、ぼくが持っている知識やテクニックなどを伝えておきたい。そう考えて、種を蒔いたつもりなんです。未来への布石のつもりです。
君たちはすごい!
クラブを引退した3年生は遅くまで文化祭の取り組みができるのに、2年生は時間の制限がある。担任はあまり当てにできないどころか、文化祭のルールを守ることには厳しいところがある。OHPと移動式手作りスクリーンの組み合わせとか、立体的な雑草作りなど初めて経験するものが多く、実験や試行錯誤を繰り返さないといけなかったなど、文化祭の取り組みに関して、5組の状況は結構きつかったのに、君たちは冒頭のようにいろんな先生方からお褒めの言葉をもらえるような劇を作ったわけです。これってすごくないか?
この学級通信を書いていて、ぼくはなぜ未来への種蒔きをしようと考えたんだろうと考えました。転勤まで時間がないこともあります。中学校で最後の文化祭をする3年生では難しいけれども、来年も文化祭がある2年生なら少し冒険することもいいかなと考えたこともあります。実際に体験しておけば、来年に生かせる可能性があるからです。
でも、一番の理由は、たぶんぼくが5組の担任だからです。君たちには迷惑な話かもしれないけど、任せられるんですよ。実際、文化祭の取り組みの中で、いろんな人がいろんなところで頑張っていたでしょう? 「先生、これは○○していいですか」とか「□□は、△△します」と言いに来た人が何人いたことか。いくつかトラブルはあったけど、それを自分たちで乗り越えてすごい劇を完成させたわけですから、君たちは自信を持っていいと思いますよ。来年も同じように君たち一人一人が頑張ってくれるなら、ぼくがいなくなっても素晴らしい文化祭をつくることができると思います。
おっと、その前に明日の体育祭をがんばらなくちゃ。目指せ!リレーと団体種目で480点!