周囲の影響 と クラスの雰囲気

ハンバーガーショップで

 先日、子どもたちにせがまれてハンバーガーショップに行きました。そこへある携帯型ゲーム機を持っていくと、ゲームなどをダウンロードして楽しめるからです。店に着くとものすごい数のお客さんが来ていて、店内にいた子どもたちはおそらく全員がゲーム機を持っていたし、大人も何人か交じっていました。ダウンロードはWi-Fiを利用するんですが、このあたりでできますという表示の紙がぶら下がっている場所に何人もが集まり、ゲーム機とにらめっこしている様子は、独特の雰囲気が漂っていました。
 よく見ると、ゲーム機を上に向けている人がたくさんいました。日本全国ですごい人数が同時にアクセスするもんだから、なかなかうまくつながらないようなんです。だから、少しでも電波をキャッチしようと考えてゲーム機を上に向けているのですが、そのゲーム機を向けている先は「このあたりで受信できますという表示の紙」なんです。どう考えても、天井から糸でぶら下がっている紙から電波が発射されるわけがないんですけどね。他にアンテナらしいものは見当たりません。アンテナは、その表示の紙の近くで、お客さんが勝手に触ったりできないようなところに設置されているはずです。
 しばらく眺めていると、あきらめて帰ってしまう人もいました。そこにタイミングよくやってきた新しいお客さんがその空いたスペースに入り、ゲーム機を取り出したかと思うと周りと同じようにゲーム機を「紙」に向けて操作を始めました。その行動は、何の疑いも感じていないように見えました。

人は周囲の影響を受けやすい

 人間は、周囲から情報を取り込んで、自分の行動をコントロールするようなところがあります。流行のファッションをすぐに取り入れてみたり、何かをするとき無意識のうちに周囲の人の行動を見てマネをしてみたり… 。これらは、集団で生活する生物として人間が獲得してきたものです。周囲に合わせるほうが楽だったり安心できたりすることが多いんです。人は周囲の影響を受けやすいというのは、こういうところを指しているのだと思います。
 例えば、数十人の仕掛け人に協力してもらって街中で行列を作ってみると通りがかった人はどうするかという実験をすると、何の行列かわからないけどとりあえず並んでみるという人が出てきたりします。
 さっきのゲーム機を紙に向けていた人たちは、たぶん誰かが始めたのを見て別のだれかがマネをして、あとから来た人たちもマネをして、この行動はどんどんリレーされていったのだと思います。でも、これって変ですよね。ただ単純にマネするのではなく、ちゃんと「考える」ことをしていたら防ぐことができたはずです。1学期からずっと君たちには「考える」ことを求めてきましたが、これからもしっかりと「考える」ことを心がけてほしいものです。

雰囲気を大切に

 来週の金曜日には実力テストがあります。夏休みにどれだけ勉強をがんばったのか、その成果をみるチャンスです。
 1学期の最後の学級通信でも指摘しましたが、夏休みにめちゃくちゃ頑張っても、すべての学習内容を完璧にマスターすることはとても難しいです。だから、こんな夏休みの勉強のやり方でよかったのかと自信を持てなかったり、もっと頑張れたんじゃないかと不安になったりする人がよくいます。また、あまりがんばったことを自慢げに言うのはちょっと… などと考える人もいます。その結果、「夏休み、勉強がんばった?」「あんまり」「そっか、おれも」というような友達との会話がなされたりします。
 しかし「ちょっと待って!」と僕は言いたい。人は周囲の影響を受けやすいんです。こんな会話をしていたら、がんばるエネルギーなんか湧いてきませんよ。そんなマイナスにつながるような言葉は、今後4組では使用禁止にしたいぐらいです。
 「勉強がんばった?」と聞かれたら自信を持って「今までで一番勉強したで」とか「苦手科目をかなりがんばったで」くらいの返事をしてほしいし、「勉強がんばった?」に対して「あんまり」などと言う人がいたら、叱ったり励ましたりしてほしいです。それができるクラスを目指してほしいものです。
 勉強も、文化祭も、よく考えて、クラスの雰囲気も大切にしながら、しっかりと取り組んでください。