文化祭 劇の脚本・演出講習会 資料 その3
5.その他
①脚本原稿を書くとき
きちんとストーリーやセリフが決まっているなら手書きで脚本の原稿を書いても構いませんが、内容を考えながら書くときにはパソコンを利用すると便利です。また、使う場合は先生の許可を得て使うこと。生徒だけでの使用は出来ません。
②過去の例から
以前、大きな場面転換のときにカーテンと物干しざおで作った移動できるスクリーンを舞台の前に登場させ、そこに登場人物がでてくる絵を何枚か映し、同時に録音したセリフを流していたクラスがありました。家を移動させるという大きな場面転換だったのですが、その時間を確保できるし、見ている人も待つ時間がなくなるし、役者が暗記しなければならないセリフを減らすこともできました。
でも、そのクラスの工夫はそれだけで終わりじゃありません。映した絵は、当日の役者の衣装を確認してそれに合わせて絵を描きました。
また、舞台に大量の雑草を置いてあったんですが、それは色画用紙などで作った雑草を小さなダンボール箱に植えるようにして作りました。そしてその箱を緑のヒモでつないでおき、どれかひとつを引っ張ればスムーズに撤収できるようにしていました。
家の床はイスを利用していましたが、運ぶイスの数を減らすための工夫があったし、ゴミが入った大量の袋もあったのですが、水を入れたペットボトルを入れて重くした演技で使う用の袋は必要な分だけつくり、あとは発砲スチロールなどを入れた見た目だけの軽い袋をつくって全体の重量を軽減していました。他にも音響、照明等で様々な工夫をしていました。
こうした数々の努力の結果、そのクラスの演劇はストーリーの内容も良かったのですが、さまざまな係の工夫がストーリーを盛り上げる効果をあげ、大きな感動を呼び、感動のあまり涙を流した保護者が何人もでるほどでした。
これは、演劇は役者だけで作るのではないということがよくわかる例です。役者とすべての係がひとつの目標に向けて行動していくことで、すばらしい演劇が完成するのです。
6.脚本・演出 アイデア集
①半仮面を使う
顔の上半分を覆う仮面を使う方法です。声をしっかり出せるように仮面の下半分をカットした仮面でも、その登場人物のイメージにあった仮面を作ることができたら、あとは演技でカバーすれば衣装をなくすことだってできます。例えば体操服などでも十分可能なのです。
この方法だと観客の想像力をうまく刺激するので、道具すらあまり必要としなくなります。それらしい演技をするだけで観客には手に何かを持っているように見えたり、大きな物体が存在するように見えたりします。
②香盤表(下図参照)
クラス全員が役者として登場する劇をする場合、出演時間やセリフの少ない人が照明や音響などの仕事を交代しながら進めることになります。そんな時には香盤表をつくりましょう。香盤表とは場面ごとに誰が出演していて、誰があいているのかをまとめたもので、この香盤表があれば役者が着がえる時間の確保をどうするかとか、幕の開閉や道具の準備や片付けを誰ができるのかもわかりやすくなります。また、当日になって急に誰かが欠席してもフォローしやすくなります。
③学園物で机はいくつ必要?
学園物をやるクラスは多いと思います。当然教室のシーンがよくありますが、そのシーンのために机やイスがいくつ必要だと思いますか?
生徒役の人数分が必要だと考えるクラスがほとんどですが、そうすると準備や片付けに時間がかかるし、舞台まで運ぶのも大変です。教室から別の場面に変えなければならない時には机とイスがぶつかったり、床をひきずったりした時の音などが結構響いて雰囲気を壊してしまうことにもつながります。
そこで、イスは生徒役全員の分を用意しますが、机は客席側の列にだけ用意したというクラスがありました。イスしかないところにいる生徒役は、机があるように演技をするのです。
これも、観客は誰も気がついていなかったし、机の数が少ない分場面転換がとても速くできました。
④観客の思いこみを利用しよう
サンタクロースが何度も登場する劇で、サンタの袋をわざわざ作るのはもったいなかったので教室のカーテンを適当にたたんだものを使ったクラスがありました。観客はサンタが担いでいる白い布は袋に違いないと思いこんでいるので、おそらく誰も気がついていなかったと思います。このように観客の思いこみを利用すれば、準備の時間や予算を節約することができます。
⑤ホリゾントのチェンジ
魔法使いが登場して呪文を唱えると一瞬でホリゾントが切り替わったクラスがありました。2枚のホリゾントをうまく組み合わせ、支えているヒモを切ってチェンジさせたんです。(登場人物の足元に置いた道具にも工夫がしてあり、ホリゾントに合わせて一瞬で切り替えていました)
また、浦島太郎の話をベースにした劇で、砂浜 → 竜宮城 → 砂浜 に対応するように、ヒモをうまく使ってホリゾントを砂浜から竜宮城へチェンジした後で元の砂浜のホリゾントに戻したクラスもありました。
このようにアイデアと工夫しだいでいろんなことができます。ただし、ホリゾントが多くなるとポスターカラーもたくさん必要になるので予算を大量に消費します。その分、衣装や道具にしわ寄せが行く可能性があるので、注意が必要です。
⑥ホリゾントに関するアイデア集
・ 広い面積を真っ黒に塗るならポスターカラーよりも墨汁の方が安い。黒の模造紙を使う方法もあるが、やや色が薄く見えるようです。
・ 広い面積を塗るならハケよりも、百均等で売っている台所用スポンジを使う方が便利です。さらにベースになる色をスポンジにしみこませた後、スポンジの表面に濃い色や薄い色のポスターカラーをところどころにつけてから塗ってやると、色の変化をつけながら塗ることができます。
・ クッキーなどの空き缶があると大量にポスターカラーを混ぜることができて、さらに効率よく広い面積を塗る作業ができます。その際、ある程度塗った後に少しずつ白や黒を混ぜるなどして色の変化をつけながら続きを塗っていくようにすると、背景が単調にならず迫力が出たり立体的に見えたりします。
・ アルミホイルは幅が25cmで長さが8mですから面積にすると2㎡。ホリゾントにうまく利用すればポスターカラーの節約になるかも。さらにその上からマジックを塗ったり、色セロハンを貼ったりすることでメタリックカラーにすることもできます。(ただし色セロハンは、色の種類が少ないです)
・ 色塗りが完成したあとで、黒のマジックを使って絵の輪郭をなぞると、全体の雰囲気がくっきりしたものになります。
・ ホリゾントの一部を切り取って、そこをドアとして役者が出入りしたクラスがありました。
⑦時間の経過を表現する
学園物の劇をやったクラスで、話の展開に合わせて夏服から冬服に変えることで時間の経過を表現しているクラスがありました。
また、ホリゾントも工夫して、窓の景色の部分だけを夏、秋、冬と3種類用意し、話の展開に合わせて交換しました。しかも、話の順番を考えて重ねて貼っておき、一枚ずつはがすだけですむようにもしていました。
⑧ドアと塀
ドアや塀がどうしても必要だからと、建設会社に電話をして解体する家から不要な「ふすま」を入手して、紙を張って色を塗り替えるなどして、自分たちでドアや塀を作ったクラスがありました。誰かが支えなくても立っているように工夫をし、塀は三枚をつなぎ合わせて折りたためるようになっていたうえに、そんなに重いものではなかったので、移動も楽でした。
⑨パントマイムを取り入れる
アパートの2階という設定で舞台を作り、アパートの1階との間で登ったり降りたりする様子を表現するために、舞台の端に小さな壁を立てるように設置し、その部分で「階段」に見えるように役者がパントマイムをやっていたクラスがありました。このようにパントマイムを取り入れると道具を作成する数を減らせるかも。
脚本・演出講習会資料は 以上です。
