つながり と ジグソーパズル

ジグソーパズル

 先月、クラスのある人といろいろ話をしているうちに、友だちの話題が出てきました。『とても仲がよい友だちグループがあるんやけど、でも、それぞれ性格がバラバラやねん』と言うのです。そのときに、僕の頭の中にふと「ジグソーパズル」というイメージが浮かびました。
 ジグソーパズルにはパーツはたくさんあるけど、その形はみんなバラバラで同じ形のものはひとつもない。だけど、他のパーツときちんと組み合わさるところがあって、うまく組み合わせていくとひとつの大きな絵になるところが、なんだかピッタリだと思ったんです。
 さっそく、その話をしました。すると、『先生、いいこと言うやん』と返事が返ってきました。でもね、僕のほうこそありがとうなんですよ。

人のつながりが持つパワー

 『個性を大切にしよう』とよく耳にするし、自分でもそんなことを言ったり書いたりします。でも、「個性」をあまりにも重要視しすぎると集団の目標とか社会のルールといったものとぶつかってしまうことがあります。個性を活かすことをうまく説明するのは難しいなぁと感じるところがあったんです。でも、このジグソーパズルのことで、少なくとも自分の中ではスッキリ解決したんです。
 たぶん、一人で考えていたってこんな発想は生まれてこなかったと思います。人とのつながりがあって、人と話をすることで、新しいアイデアが生まれたり、わかりやすく納得できる発想が出てきたりするんですね。つまり、人は人とのつながりの中で、持っている能力を強化されたり、新しい能力を引き出されることがあるということです。
 人と人とのつながりは、すごいパワーを持っているんですね。

あせらずつながろう

 人とつながることが良いってわかっていても、実際に人とつながろうとするときにはうまくいかないときがあります。特に、まだまだ人間関係の作り方を身につけていない成長途上にある中学生ではよくある話です。
 誰と何を話していいのかわからない。一人でさびしい。さびしくなるのはイヤだから無理して人とつながろうとして、相手に気を使いすぎて精神的に疲れ果ててしまう。逆に一人でもさびしくないように装って、学校では明るく振舞ってはいるけど、家に帰ったらこっそり泣いている。クラスがおもしろくないから、学校に行きたくない。去年のクラスに戻りたい。何をやるのもめんどくさくて無気力で、勉強にも手がつかない。こんな話に思い当たる人が、このクラスに何人かいます。このクラスで良かったって思っている人と対照的です。
 新しいクラスがスタートしたころは緊張しているから、逆に気がつかない。少し慣れてきた今頃になって、こういった精神状態になってしまう。これを昔は『5月病』って呼んでいました。就職したばかりの新入社員にもあって、ニュースでも取り上げられたことがあります。新しい環境に慣れて、その環境の中で新しい「人とのつながり」を見つけて、自分の居場所ができてしまえばどうってことがないんですが、それまではもう少し辛抱が必要です。
 ここで、さっきのジグソーパズルの話です。僕が今まで挑戦したことがあるジグソーパズルの最高は1000ピースです。4人がかりでめっちゃ集中して10時間ぐらいはかかったでしょうか。まず端のパーツを分類し、次にだいたい同じような色のパーツに分類します。そこから先はぴったりとあうパーツを見つけるまで何度も何度もピースをあわせてみます。無理をするとパーツが壊れてしまうから優しく扱います。疲れてくると、もっと他の方法はないのかと考えます。でも、結局地道にひとつずつあわせるしかないと結論が出て、ただただ作業を繰り返します。
 人とのつながりを見つけるのは、このジグソーパズルの作業と似ています。何度も何度も繰り返し、ぴったりあう人間関係を探さなければなりません。疲れてしまうこともあるでしょう。あせることもあるかもしれません。でも、やがてジグソーパズルが完成するように、きっといつかは人とのつながりが見つかると思います。それにそんなに心配はいりません。なぜなら、もう少しで修学旅行に行けるからです。
 修学旅行で長い時間一緒に生活していると、お互いに新しい面を発見できます。そして、この人はこういう人だ。だから自分とは合わないなどと思っていたことがちがっていたと気づいたり、話をしてみると意外に話題が共通であることを見つけたりします。緊張が解けて自然に振る舞うことができたりします。そこからすべては始まると思うのです。
 今、人間関係に疲れてしまっている人の中には、修学旅行に行きたくないと思っている人がいるかもしれません。でも、行かなかったら人間関係をうまく作れるチャンスを失ってしまう可能性があります。とりあえず、中間テストも終わったことだし、修学旅行をみんなで楽しめるようにがんばってみませんか?