身体も脳も心も鍛えよう
運動能力と練習
部活の様子を見ていると、1年生と2年生の違いがすごいなぁって感じます。右往左往していたり、ボールをバタバタと追いかけるだけだったり、逆にうまく動けなかったりするような1年生と、3年生には及ばないかもしれないけれども、状況に合わせてスムーズに動くことができている2年生とを比べると、たった1年間だけど、その1年間に積み重ねてきた練習が運動能力にすごく影響しているなと、しみじみ感じてしまいます。運動系の部活だけじゃなくて、例えばブラスバンドの練習を見ていても、演奏テクニックやリズム感などその差は歴然としています。
走ったり、ストレッチをしたり、基礎練習などを繰り返して身体を動かして、筋肉や骨格に継続的に刺激を与えることが、運動能力の発達にとても有効であることがわかっています。時々身体を動かすというのではなく、継続して運動を繰り返すことが大切なんです。まだまだ君たちはこれから伸びていくと思います。これからも継続してしっかり身体を鍛えていきましょう。
知的能力と感受性期
身体を鍛えることで運動能力が発達していくのと同じように、脳も鍛えることで知的能力が発達します。ただし、脳のはたらきはとても複雑なので、話が少しややこしくなってしまい、単純にはいかない部分があります。簡単に説明すると、脳や神経が発達していくには、必要な時期に必要な刺激を与えることが必要になることがあるんです。
例えば聴覚ですが、教室で僕が話をしてる時、君たちは壁や床に反射した音も一緒に聞いています。しかし、そのことを意識することはありません。耳から入ってきた音を脳がうまく処理して、反射してくる音だけを無意識のうちにカットしているからです。でも、赤ちゃんはそれができません。いつもエコーがかかっているような感じを想像してもらえたらいいかもしれません。でも、生まれてから数ヵ月の間に「聞く」という刺激を受け続けているうちに、脳が耳から入ってきた音をうまく処理することができるようになってきます。
もしも、生まれてから何ヵ月も音がまったく聞こえないような環境で赤ちゃんを育てたら、脳は音をうまく処理することが出来ないままになってしまう可能性があります。生まれてから数ヵ月の間に、音という刺激を与えることが必要なのです。同じようなことは視覚や言語能力など、様々な分野に存在しています。これらの刺激を必要とする時期を「感受性期」というのですが、どんな能力に感受性期があるのか、また、それはいつからいつまでなのかなど、まだまだ分からないことはいっぱいあります。それに個人差というものも存在するので、今の段階では毎日脳に刺激を与え続けるぐらいしか対策が思いつきません。
つまり、毎日、家でも自分から進んで机に向かって勉強している人は、感受性期を逃してしまう確率を低くできることになるわけです。だから、これからも継続してしっかり脳を鍛えていきましょう。
知的能力と心
知的能力も心も、同じ脳のはたらきですが、必ずしも一緒に連動しているとは限りません。毎日家で勉強をすることが大切であるということは理解していても、実際にやろうとすると気が重い。そんな時、知的能力と心は連動していないわけです。しかも、そのことに本人がまったく気づいていないこともあります。人間ってホント難しい生物ですね。
たとえやりたくないこと、できるだけ避けたいこと、イヤなことであっても、逃げることなく真っ正面から立ち向かい、最後までやり抜くためには「強い心」が必要です。どうすれば心を強くできるか。これがまた難しい問題で、個人の性格にも影響されたりするので、簡単に答えは出てきません。
「自分のために」では頑張ることが出来ない人は、周囲の人を利用する方法があります。友だちと頑張る約束をして一緒に勉強するとか、親に今日は3時間勉強するからなどと宣言して協力をしてもらうとか。家ではどうしても集中できないなら、学校などを利用するのもいいでしょう。テストのシーズンになると、図書館で勉強している人をよく見かけます。君たちもいろいろ考えて、これからも継続してしっかり心を鍛えていきましょう。