新作 牛丼と思考と感覚と正しい「正義」
牛丼チェーン店の役員の発言
ある牛丼チェーンの役員が、大学で開催された会社経営に関するセミナーで、反社会的な内容と女性を見下すような発言をしたことが原因で、解任されました。だから、今はもう役員ではなく元役員です。マーケティングの世界では有名な方だったようですが、この件でおそらく2度とセミナーの講師として呼ばれることはないだろうし、役員としての仕事を失っただけではなく再就職も難しくなったと思います。
どんな発言をしたのか、その内容についてここでは触れませんが、不快感や腹立たしいなどの嫌な思いをした人たちがいたことは間違いありません。
このことから、みんなは何を学べるでしょうか?
発言には気をつけなくてはいけない。そう考えた人は結構いるのではないでしょうか。この答えは間違いではないと思います。でも大正解とも言えないと僕は思っています。
思考と感覚
地位や立場が上になるほど発言の重みは増していき、同時に、周囲への影響も大きくなるので、発言した内容についての責任も重くなります。先ほどの元役員も、解任されたのはそのためです。では、発言にさえ気をつけていればいいのでしょうか?
僕は、発言そのものだけではなく、発言内容を考えた思考とか感覚のようなものの大切さに気がついてほしいと思っています。反社会的な内容を言わなければいいのではなく、反社会的な内容を許さないという思考。女性の人権を軽んずるのではなく、大切にしようとする感覚。それらがきちんと身についていれば「発言に気をつける」必要さえもなくなりますよね? 僕が考える大正解は、そういうことなんです。
正しい「正義」
今回の記事には、続きがあります。
この件がテレビや新聞などで話題になった後、この牛丼店で働く店員さんに罵声を浴びせたり、謝罪を要求したり、この牛丼店に行ったとツイートした人が見ず知らずの人たちから叩かれたりする、文字通り理不尽と呼べる事態が起きているのです。
もちろん、そんなことをするのは一部の人間で、多くの人たちは「大変だね」と声をかけてくれたり、「こんどの新作も、おいしいね」とほめてくれたり、今までと変わらずお店に足を運んでくれたりしているそうです。理不尽なことをする人と、店員さんを励ます人と、どちらが人間として素晴らしいか、わかりますよね?
問題になる発言をしたのは、元役員です。また、その元役員を雇った責任は会社の上層部の人にあるかもしれませんが、お店で働く店員さんにはそんな責任はありません。それでも、その牛丼店が許せないなどと思うのであれば、そのお店に行かなければいいだけのことだと思います。わざわざお店に行って、店員さんを攻撃したりするのは、店員さんの人権を大切にする感覚を持っていないわけで、その点では元役員と同じレベルの感覚であると言えるのではないでしょうか。責任を問われるべきだと思うのです。
元役員は仕事を失いました。社長は3か月間給料を30%減らす処分が確定しています。それぞれの責任を取っています。では、理不尽な攻撃をした人たちは、どう責任を取るつもりなのでしょうか?
元役員の発言は許せない。そう考える気持ちは「正義」と言えるでしょう。でも、何の責任もない店員さんや牛丼を食べただけのお客さんを攻撃するのは、絶対に「正義」ではありません。みんなには、「正しい正義」を理解した人間に育ってほしいです。
みんなは、今まで道徳や特活の時間だけではなく、清掃や係活動などの学級活動や部活動などで、いろんなことを学び、考え、感覚を磨いてきたと思います。そのことをこれからもずっと続けてほしいです。入試科目にはないけれど、よりよい人として生きていくためにものすごく大切なことだからです。